大人のフリすんな
「子供の頃から憧れてたものに なれなかったんなら大人のフリすんな」
ハイロウズってバンドの不死身のエレキマンって曲にこんな歌詞がありました。曲を聴いた当時僕は中学生で、自分はプロ野球選手になれないとわかってからちょっと経った頃でした。「そんなこと言ったら世の中に大人なんてほんのちょっとしかいないじゃないか」と、大人になれない僕は思いました。
それから時間は経ち、18歳未満入場禁止の暖簾をくぐり、晴れて18歳になっても僕はなんだか18歳になったという実感がわかずにいました。社会人になり、お酒を飲み、タバコを吸い、ビデオ屋のアダルトコーナーでAVを買い、それでも自分が大人になった感じはせず、ふわふわと子供と大人の2つの単語を行ったり来たりしているようなそんな気持ちでした。
じゃあ人が大人になるのはいつ?はじめてセックスした時?タバコに火をつけた時?成人式?そもそも大人って何?
僕が小さかったとき、大人の僕は東京ドームのマウンドからフォークボールをキャッチャーミットに向かって放っていました。
大人なんて曖昧なもので、誰に認めてもらえるわけでもなければ自分で認識できるものではなくて。僕にとっての大人の僕は、プロ野球選手だったわけで。じゃあプロ野球選手になれなかった僕は大人になれなかったんですね。
そうなると今の僕なんて子供に毛が生えたようなものだし、それなら電車の向かいに座ったおっさんは毛むくじゃらの子供だし。
そんなこと言ったら世の中に大人なんてほんのちょっとしかいないじゃないか。
もう数年したらこんな文章を書いてたのがアホみたいにヌルッと大人になれていたりして。
それとも、もっと毛が濃くなっていたりして。